機構長メッセージ
越智 光夫
広島大学卓越大学院・大学院リーディングプログラム機構長
広島大学長
原爆被災後の広島の復興を共に歩む中で、広島大学は初代の森戸辰男学長が掲げた「自由で平和な一つの大学」というスピリットを受け継ぎ、独自の使命を持った総合研究大学として発展を遂げてきました。その中で、放射線の人体影響や被ばく医療に関する研究、復興に関する社会科学的研究の成果が蓄積されてきました。また、平成16年から、我が国の緊急被ばく医療体制の拠点として被ばく医療体制の整備事業を実施して参りました。
平成23年に福島第一原子力発電所事故が発生したときには、広島大学に蓄積した経験と知識を福島の皆様のために少しでも役立てようと1,300人余りの被ばく医療支援チームを派遣し、様々な支援活動に従事して参りました。
この様な経験を反映し、本学では平成23年に博士課程教育リーディングプログラムとして、「放射線災害復興を推進するフェニックスリーダー育成プログラム」を創設しました。このプログラムは、従来の学問領域・研究領域の枠組みを超え分野横断的な学術分野に立脚し、放射線災害からの復興という国際的な課題を解決するグローバルリーダーの育成を目的とするものです。世界トップクラスの総合研究大学を目指す本学の総力を結集することで、世界基準となる大学院教育プログラムを創設し、広島から世界の安全・安心を支えます。その志を分かち合える人財を育成するために、存分に学修に専念できる支援体制を整えました。ともに夢と希望を語り合える仲間を待っています。
プログラム責任者メッセージ
津賀 一弘
広島大学 理事・副学長 (社会連携・基金・校友会担当)
放射線災害は、健康被害や環境汚染、風評被害など、社会に大きな影響を及ぼします。放射線災害からの復興には、幅広い分野にまたがる知識や技術だけでなく、俯瞰的に事態の本質を捉え、困難な課題に果敢に挑戦できる強い意志とリーダーシップを持つ人財が求められます。地球規模の災害であるため、国際社会や国際機関との連携も不可欠です。
本プログラムは、世界初の被爆地である広島の復興を支えた広島大学が、福島原発事故と復興でのさらなる経験を踏まえ、総力を結集して創設されました。学生たちは、幅広い分野の学術と技術を習得するとともに、福島や放射線災害関連地域でのフィールドワークや国際機関などでのインターンシップを通じて実践力を涵養します。広島大学は、世界唯一のこのプログラムを国際標準の大学院プログラムとするため、最大限の努力を傾けています。
本プログラムで育った人財が、被災された人々の支えとなり、安全で安心な地球の再生に貢献できることを心より願っています。